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運ぶドリブルの練習法 上手くなる3つのポイントとは?

最近、「運ぶドリブル」という言葉をよく耳にするようになりました。運ぶドリブル(コンドゥクシオン)とは、その名の通り、ボールを前方へ運ぶために使うドリブルで、ポゼッションサッカーで栄華を極めたスペインから持ち込まれた言葉です。

ひと昔前の日本では、「ドリブル=相手を抜く」というイメージが強く、ドリブル練習というと1対1などの抜くドリブルの練習がほとんどでしたが、最近はだいぶ変わってきています。

どーな

昔からサッカーIQの高いプレーヤーは、運ぶドリブルを上手く使っていましたが、言語化されたことで一般化されました。

この記事では、運ぶドリブルのコツと練習法を解説していきます。

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運ぶドリブルって何?

スペインでは、ドリブルは「抜くドリブル(レガテ)」「運ぶドリブル(コンドゥクシオン)」という2つの技術に区別されています。

「抜くドリブル」はこちらの記事をご覧ください。
40歳からでも上手くなる!抜くドリブルのコツと練習法

どちらも重要な技術ですが、目的が全く違います。このためスペインでは、「ドリブル」でひとくくりにするのではなく、全く別の技術として認識されています。

運ぶドリブルとは、ピッチのA地点からB地点までボールを運ぶドリブルです。ボールを前方へ運んだり、空いたスペースにドリブルすることで相手を引きつけることができます。

運ぶドリブルは、ピッチのどの場所でも使われますが、特に使う頻度が高いのは、ビルドアップの中心となるセンターバックやボランチです。

バルサの試合を見ると、センターバックのピケ選手が、ディフェンスラインからドリブルで持ち上がるシーンがよく見られますね。また、シャビ選手がバルサにいた頃は、中盤でキープするドリブルを使って相手を引きつけ、パスコースを作っていました。

運ぶドリブルの2つの効果的な使い方

運ぶドリブルの効果は、主に2つです。

  • ボールを前方に運ぶ
  • 相手を引き付ける

センターバックやボランチは、運ぶドリブルを使うことが多いポジションです。例えば、センターバック(CB)はこんな風に運ぶドリブルを使うと効果的です。

前方へボールを運ぶ

運ぶドリブル(コンドゥクシオン)

現代サッカーは、バックラインからボールをつないでいくのが主流です。昔のように「DFは取りあえず前へ蹴っとけ!」ということも少なくなりました。

相手の守備網は3層構造(FW、MF、DF)になっており、パスをつなぎながら各階層を超えていくのがポゼッションサッカーの仕組みです。(※4層や5層構造になっていることもありますが、簡易的に3層としています。)

CBがボールを持ったら、まず1層目(相手FWの守備網)を超える必要があります。この層を超えるには、DF間で横パスをつなぎ、タイミングを見てMFやFWへ縦パスを入れるのが基本です。

しかし、相手のプレッシャーが弱く、前方にスペースがある場合は、運ぶドリブルを使って持ち上がることで、守備網を超えることができます。

相手を引きつける

相手のマークが厳しい場合、運ぶドリブルを使って突破口にすることができます。

相手FWがこちらの横パスに対応してきた。MFもしっかりマークされていて、縦パスも出せない。こんなとき、ただ横パスをつないでいるだけでは突破口を見出せません。逆に、徐々に厳しい状況に追い込まれてピンチを招いてしまいます。

運ぶドリブル(コンドゥクシオン)

そこで、運ぶドリブルを使います。CBがドリブルで持ち上がることで、相手FWを引き付けることができます。

すると、味方のサイドバック(SB)がフリーになるので、そこへパスを出します。フリーのSBは、そのままドリブルで持ち上がれば、相手の守備網を突破することができます。

運ぶドリブル(コンドゥクシオン)

運ぶドリブル(コンドゥクシオン)

運ぶドリブルに必要な3つのスキル

運ぶドリブルには、抜くドリブルのようなフェイントや一瞬で置き去りにするスピードは必要ありません。必要なのは、正確にボールを運ぶ技術ボールをキープする技術、そして状況判断力です。

正確にボールを運ぶ技術

どーな

運ぶドリブルを使うには、まずは正確にドリブルできなければなりません。

運ぶドリブルのベースとなるのが、正確にボールを運ぶ技術です。基本となるのは、利き足のアウトサイドで真っすぐ運ぶドリブルです。

アウトサイドドリブルは、小指を中心にボールタッチします。アウトを使うメリットは2つあります。1つは走るフォームに近いためスピードが出しやすいこと、もう1つは指の関節部分は柔らかいので、ボールタッチの強弱を調整しやすいことです。

もちろん、試合ではまっすぐ運ぶだけではなく、方向転換も必要です。インサイド、足の裏などを使えるようにしておくことが大切です。

ドリブルに限ったことではありませんが、ボールを持つときは、利き足の前にボールを置き、いつで何でもできる状態にしておくことが大切です。

特に運ぶドリブルは、状況に応じてパスを出したり、止まったり、方向転換したりと、プレーを切り替える必要があります。このため、ドリブルしながらいつでも何でもできる状態にしておく必要があります。だから、利き足のアウトサイドのドリブルが基本になるのです。

ドリブルの基本は、こちらで詳しく解説しています。
サッカー初心者のドリブル練習メニュー6選

正確にボールを運ぶ練習法はこちら

ボールをキープする技術

敵からボールを奪われないように、体や腕で敵をブロックしたり、敵からボールを隠しながらドリブルする技術です。主に中盤で攻撃の糸口を探るときや、FWがポストプレーで攻撃の起点となるときに使われます。

下の動画はシャビ選手の中盤でのボールキープです。常に利き足の前にボールを置いている点にも注目してください。

スペインでは、ボールキープも運ぶドリブルの1つと考えられています。ボールを前へ運んでいく過程で、敵にボールを奪われないようにボールを守るために使う技術だからです。

またスペインでは、このボールキープがドリブルの基本と考えられています。なぜなら、ボールを奪われず、上手くプレーをつなげることが、チームのプレーに安定感を与えるからです。

敵のプレッシャーを受けると、すぐにミスしてボールを失ってしまう人は、その他のドリブルを練習するよりも先に、ボールキープの習得が急務となります。

スペインに限らずサッカー強豪国では、ボールを奪われないことを重要視しています。ブラジルでは、簡単にボールを失う選手は、たとえ良い場所にいてもパスを回してくれないそうです。

ブラジルサッカーの洗礼を受けながら、ブラジルでプロになった日本人選手の話
サッカーの正しい基本とは?檜垣裕志さんの利き足のポイントを考察

ボールキープの練習法はこちら

状況判断

運ぶドリブルからパスや抜くドリブルに切り替えたり、ドリブルコースを変えるなど、状況判断は運ぶドリブルの重要事項です。良い状況判断をするには、技術面と戦術面の両方を高めることが大切です。

技術面でいうと、ボールタッチの正確性はもちろん、ドリブルしながら顔を上げ、周囲の状況を把握する必要があります。視界を確保しながらドリブルするには、関節視野(視界の下の方で何となく見る)でボールをとらえながらボールコントロールする技術が必要です。

戦術面は色々ありますが、まずは目的を持ったドリブルをすることが大切です。ドリブルしたいからするのではなく、前方にボールを運ぶためなのか、相手を引き付けるためなのか、目的を明確にしてドリブルする必要があります。

状況判断力は、1対1やコーンドリブルでは身につきません。ゲーム形式の練習で磨いていく必要があります。

ゲーム形式の練習というとミニゲームが一般的ですが、一人ひとりがボールに触る時間が短いため、やや非効率になってしまいます。このあとで、運ぶドリブルの状況判断を磨く練習法も紹介していきます。

運ぶドリブルの状況判断を高める練習法はこちら

運ぶドリブルを身につける練習法

それでは、運ぶドリブルを身につける練習法です。ボールを運ぶ技術、ボールキープ、状況判断の順に紹介していきます。

正確にボールを運ぶ練習法

ドリブルの基本を身につける練習法を2つ紹介します。重要なポイントは3つ。ボールと体が一体になること、顔を上げること、いつでも何でもできる場所にボールを置くことです。

イン・アウト

利き足のインサイド、アウトサイドでボールタッチしてマーカーをかわしていきます。常に利き足で触るためのボールタッチとステップワークがポイントです。

ボールタッチは、イン・アウトで正確にタッチします。ボールタッチは、「だいたいこの辺」という曖昧な感覚ではなく、インは親指、アウトは小指で正確にタッチするよう意識しましょう。

どーな

シンプルな練習だからこそ、「何となくやる」のではなく、具体的な意識を持って行うことが重要です。

ステップワークは、常に利き足の前にボールを置くために大切なポイントです。ステップを踏んでボールと体の適切な距離感を保つことで、ドリブルしながら「いつでも何でもできる状態」を作ることができます。

シンプルなメニューですが、ドリブルの基本を身につけるために、めちゃくちゃ重要な練習です。

シンプルだけど置くが深い!ドリブルの基本練習イン・アウト

後追いドリブル

2人組みの練習メニューです。1人が前を走り、もう1人がドリブルしながら後を追います。カウントダウンでストップし、前を走る人の脚の間にシュートします。

前の人に付いていくために、顔を上げてドリブルすることができるようになります。また、前の人が色々な方向へ行くのに付いていくことで、ドリブルで方向転換する技術も身につきます。

最後はカウントダウンに合わせてストップし、シュートで終われるように、ボールをいつでも触れる場所に置いてドリブルすることも重要なポイントです。

ボールキープの練習法

ボールキープの練習は、対人練習と1人でできるドリルを紹介します。敵とボールの間に体を入れてブロックすること、敵のプレッシャー強さや方向を感じ取ることを意識して練習しましょう。

対人ボールキープ練習

2人組みで行うボールキープ練習です。ボールと敵の間に体を入れ、ボールを守ります。敵からボールを遠ざけるために、半身で体を入れることがポイントです。

ボールキープの上手い選手は、腕を上手く使います。腕を使うことで、敵をブロックする効果もありますし、敵がどこから来るかを察知する「レーダー」の効果もあります。

ボールキープするときも、ボールの置き場所は利き足の前が基本です。

敵が強くボールを取りに来た瞬間にターンして入れ替われば、敵を置き去りにすることができます。キープしながら敵の状態(位置、力の入れ具合など)を感じ取ることがポイントです。

スクリーンを使ったコーンドリブル

こちらは1人で行うドリルです。コーンの手前でターンし、コーンとボールの間に体を入れてターンします。ボールを運んでいたら敵が近づいてきたので、体を入れてキープするイメージの練習です。

動画では左右の足のインサイドでターンしていますが、ターンは利き足のイン、アウトを使いましょう。先ほどのシャビ選手の動画でもわかるように、利き足のイン、アウトを使ってターンしています。世界のトッププレーヤーは利き足を中心にしてプレーするのです。

基本技術を身につけるおすすめ教材

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状況判断を向上させる練習

状況判断を磨くには、対人練習が効果的です。ミニゲームだと練習の目的がぼやけてしまいがちなので、運ぶドリブルの状況判断に目的を絞った練習メニューを紹介します。

判断力を鍛える2対1

運ぶドリブルから状況判断する対人練習です。2対1の状況なので、ボールを持っている選手には、「パスか、抜くドリブルか」の2つの選択肢があります。DFの体勢を見て、どちらにするかを判断します。

判断のタイミングがポイントで、早すぎるとDFに対応されてしまいますし、遅すぎると、DFに寄せられてしまいます。DFとの間合い、DFの体勢を見て、タイミングよく判断することが大切です。

どーな

2対1で判断できるようになってきたら、3対2など関わる人数を増やして実戦に近づけていきましょう。

ドリブル鬼ごっこ

グリット内でドリブルしながら鬼ごっこをします。周りを見て、どこから鬼が来るのか、どこへ逃げればいいのかを判断します。1対1のドリブル鬼ごっこと違い、鬼の位置、味方の位置、スペースなどの情報を得る必要があります。

人数は任意です。この動画ではグリット内に7人入り、6人:1人で鬼が設定されていますが、鬼の人数を増やせば難易度が上がります。

こちらはレクリエーション要素の強いメニューなので、体と頭を活性化させる目的でウォームアップなどに取り入れてもいいでしょう。

まとめ

運ぶドリブルのコツ、練習メニューを紹介してきました。最後にまとめておきます。

  • 運ぶドリブルの目的は前方へボールを運ぶ敵を引き付けるの2つ
  • 運ぶドリブルに必要な3つのスキルは正確にボールを運ぶ技術ボールをキープする技術状況判断
  • 正確にボールを運ぶ基本は、利き足のアウトサイドタッチで、いつでも何でもできる場所にボールを置く
  • ボールキープは、ボールを失わずプレーをつなげるために必要な技術で、スペインではドリブルの基本と考えられている
  • 良い状況判断をするには、顔を上げてドリブルし、周囲の状況を把握する
  • 目的を持ったドリブルをすることで、状況判断力が高まる
  • 正確にボールを運ぶ練習では、利き足の前にボールを置くボールタッチとステップワーク顔を上げてドリブルすることを意識する
  • ボールキープの練習では、敵とボールの間に体を入れてブロックすること、敵のプレッシャーの強さや方向を感じ取ることを意識しする
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  • 状況判断を磨くには、対人練習が効果的

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