サッカーノートを上達につなげる6つのポイント
「サッカー上達関連の情報が多すぎて、何から手を付ければいいのか分からない」
「自主練をやっているけど、いつも行き当たりばったりの練習になってしまう」
「調子が良いときと悪いときの波が大きい」
「試合でのプレーを反省してみても、具体的な改善策が浮かばない」
こんな悩みを抱えている人へ、1つの解決策を紹介したいと思います。
サッカーノートをご存知でしょうか?その名のとおりサッカーのことについて書くノートです。
試合でのプレーの振り返り、自分の課題、目標、練習内容など、書く内容は人それぞれです。サッカー部では、監督との交換日記的な使い方をしている所もあります。
サッカーノートのメリットの一部を挙げると、以下のようなものがあります。
・自分のことを客観的に見ることができるので、これからの課題や練習することを整理できる
・偶然上手くできたプレーを書き残しておくことで、再現性のあるプレーにすることができる(自分のものにすることができる)
・「こんなプレーができるかも」と想像して書くことで、イメージトレーニングになる
・過去に壁にぶつかったとき、どんな風に乗り越えたのかが分かる
このようなメリットがありますが、社会人プレーヤーでサッカーノートを書いている人は、ほとんどいないと思います。私は会ったことがありません。(恥ずかしくて言わないだけかもしれませんが)
Jリーガーや日本代表選手でも、サッカーノートを書いている人は少ないそうなので、サッカーノートを書くことが、必ずしも上達につながるわけではありません。あくまで方法論の1つであって、合う人もいれば、合わない人もいます。
私自身は、サッカーノートに一定の効果を感じているので、書くようにしています。
サッカーノートを書くことで有名なのが、中村俊輔選手です。高校時代、メンタルコーチのすすめで書き始めたそうで、プロになってからも書き続けています。
中村選手のサッカーノートは、「夢をかなえるサッカーノート」という本で公開されています。
現在サッカーノートを書いていて、「この書き方でいいのか分からない」という人や、「これから書いてみよう」という人は、参考になると思います。
中村選手が「サッカーノートを見せるくらいなら、ヌードを披露した方が、まだマシ」と言っているように、中村選手のノートには赤裸々な言葉が並んでいます。
「あれだけの才能の持ち主でも、こんなに悩みながらも前へ進んでいるのか」ということを感じられ、「自分もがんばろう」とモチベーションアップの材料にもなると思ます。
今回は、この本を参考に、サッカーノートの効果的な書き方や活用法を紹介します。
中村俊輔流サッカーノートの書き方
中村選手のサッカーノート書き方には、目標、ゲーム、トレーニング、メンタル、イメージ、記録という6つの特徴があります。それでは、1つずつ説明していきます。
1.目標
中村選手は、基本的に1年ごとにサッカーノートを新調しており、ノートの1ページ目に書くのが目標です。目標は、すべての行動の軸になるものなので、目標を設定することは一番大切な作業だと言えます。
中村選手は、目標を短期(半年単位の目標)、中期(1年先の目標)、長期(2年後以降の目標)に分けて設定しています。
大きな目標を小分けにして、1つずつ達成していく手法は、目標達成法の王道ですね。ただ、分かっていても、なかなかできないんですが。こういった地道な作業を愚直にこなしていることが、トッププレーヤーであり続けるゆえんかもしれませんね。
2.ゲーム
試合の振り返りをし、攻守のプラス面とマイナス面、課題などを整理します。絵や図をまじえて書くことで、後から見返したときにイメージしやすくなります。
試合をしたあと、自分のプレーを振り返る人は多いと思いますが、ほとんどの人は頭の中だけで行っています。しかし、それだと考えが上手く整理できなかったり、しばらくすると忘れてしまったりします。
サッカーノートに書き出すことで、頭の中が整理され、後から見返したときに思い出すことができます。
3.トレーニング
チーム練習や自主練習のメニューを書いておきます。この作業の一番の目的は、練習の意図を記録しておくことです。中村選手は、自主練習に活用したり、後に自分が指導者になったときの参考にするために記録しているそうです。
プロ選手はチームが変わったり、監督が変わると練習メニューも変わります。これはプロならではの事象ですが、社会人プレーヤーの場合は、本やDVDで新たな練習メニューを知ったときに書き残しておく、という形で応用できます。
本やDVDは、見たときは「なるほど」と思っても、しばらくすると忘れてしまいます。ノートに書くことで、記憶に残りますし、ノートを見返したときに「こんな練習メニューもあったな」と思い出すことができます。
4.メンタル
気持ちを整理し、この先どうするべきか、どうありたいかを書きます。頭の中であれこれ考えているだけではまとまらないときは、ノートに書き出すことで整理され、もやもやが解消することがあります。
メンタルトレーニングに、「クリアリング」という手法があります。頭の中に浮かぶ言葉を、思いつくままに紙に書き出します。そして、書いた言葉の中から、キーワードを見つけて悩みの原因を探っていくという手法です。
中村選手のノートには、その時々の気持ちが赤裸々に書かれており、クリアリングと同じような効果があるのだと思われます。
また、中村選手は、逆境をどのように乗り越えたかを書いておき、メンタル的に苦しいときに見返して参考にすることもあるそうです。
5.イメージ
試合で有効だったプレーや仮想のプレーを絵や図を使って書きます。
試合で有効だったプレーの中には、偶然できたプレーもあります。そういったプレーを書き残しておき、次は狙ってできるようにします。
仮想のプレーを書くことは、イメージトレーニングの効果があります。中村選手は、「こんなループシュートを決められたらいいな」と書いていたプレーが、現実になったこともあるそうです。
6.記録
雑誌などで参考になった記事の切り抜きを貼っておきます。
中村選手は、自分についての記事で、良く書かれたものだけでなく、批判的なものも貼っています。そこには、こんな意図があるそうです。
スクラップしているときは「なんでこんなことを書くんだ」と思っている。
その後何度も読み返していると、時間とともに落ち着いた気持ちで読めるようになる。
きちんと受け止められるようになるまで、そこから逃げてはいけないと自分に言い聞かせる。
(中略)
精神を強くするためでもあるが、“今”に満足しないためにも、嫌なことから目を背けてはならない。
だから(サッカー誌の評点が)低い点のときほど、切り取ってノートに挟んでいた。
批判的な記事を貼ることは、人によってはマイナス思考を増幅させてしまうことがあるので注意が必要です。
中村選手は、結果的に自分のプラスになると判断して、このようなやり方をしています。自分にとってプラスになると思う人は、真似してみてもいいかもしれません。
一般の人は、サッカー雑誌に自分のことが書かれることはないので、「相性のいい記事」、「相性の悪い記事」に置き換えて考えてみてください。
私のサッカーノート
ここからは、私がサッカーノートを書いていて感じたこと、気づいたことを紹介します。
中村俊輔選手の書き方を読んで、「なんか難しそうだな」、「ハードル高いな」と感じた人は、こちらが参考になるかもしれません。
「別にお前のノートはどうでもいい」という人は、読み飛ばしてください(笑)
私の場合は、中村選手のノートの6つの特徴の内、目標、ゲーム、イメージ、記録の4つを書いています。
1.目標
中村俊輔選手と同じように、私もノートに目標を書いています。
私は目標を決めたときは、「よしっ、やるぞ!」という気になりますが、このモチベーションは長く続きません。日常生活をしているうちに次第に忘れてしまいます。ですので、忘れないように書き留めています。
私の場合は、中村選手のように短期・中期・長期といった分け方はしていません。短期~長期がごっちゃになっているイメージです。
中村選手は、目標をノートの最初に書いていますが、私は常に目標を意識できるように、毎回最後の行に書いています。これは、どちらがいいということではなく、自分に合ったやり方をすればいいと思います。
2.ゲーム
中村選手と同様にゲームの振り返りを書いています。
中村選手は、チーム全体の動きについても書いていることがありますが、私は自分のプレーが中心です。中村選手のような広い視野がないことが一番の要因です(笑)
チームのことについて書いていた時期もありますが、社会人チームの場合、選手の意識が各々違うので、こちらのモチベーションを一方的に求めても空回りしてしまいます。
それでストレスを溜めてもつまらないので、自分のプレーに集中することにしたという経緯もあります。
試合の振り返りをノートに書くことで感じた一番の変化は、自分のプレーの意図を説明できるようになったことです。
試合中は無意識でプレーしていますが、後から振り返ったときに、「この場面では、ここに味方がいて、こういう動きをしたから、こういう判断をした」と説明することができます。
このように意図を説明できるようになることで、プレーの再現性が高まり、次に同じような場面になったときに、過去の経験を活かせるようになるのだと思います。
また、試合中のメンタル面についても書いています。試合中は、ずっと同じ精神状態ではありません。メンタルは、時間帯、スコアの動き、自分のプレーの良し悪しなどに影響を受けます。「この時間帯は、集中力が低下していた」といったことを書いておくと、自分のメンタル面の特徴を把握できます。
3.イメージ
試合の振り返りをするとき、絵や図をまじえて書いています。やはり、絵や図があった方が、後でイメージしやすいからです。
絵と言っても、味方を〇、敵を●で表示したり、棒人間で表示したりと、非常に簡単なものです。
また、真上から見たアングル(フォーメーション図みたいな感じ)で書くこともあれば、ピッチ上のアングルで書くこともあります。アングルは使い分けのルールがあるわけではなく、そのときの直感で「後から見たときに、この方がイメージしやすいだろう」と思われるものを使っています。
4.記録
本や雑誌の情報を記録しておきます。
中村選手のように自分のことが記事になることはないので、気になった記事の切り抜きを貼ったり、気になった言葉を書き留めています。
取り上げるのは、技術論、戦術論、心に残った言葉やエピソードなど色々です。サッカーに関係ない雑誌などでも、役立つと思ったものは記録しています。
高校時代はモチベーションを上げるための記事がほとんどでしたが、現在は取り上げる情報の幅も広くなっており、我ながら成長したなと思っています(笑)
まとめ
今回は、サッカーノートの効果と書き方について見てきました。
私は高校の頃からサッカーノートを書き始めました。書かない時期もありましたが、今も書き続けています。
私がサッカーノートに感じているメリットは2つあります。1つは、自分のプレーを客観的に見られること、もう1つは、常に目標を意識した行動ができるようになることです。
冒頭でも申し上げましたが、サッカーノートを書けば、必ずサッカーが上達するわけではありません。あくまで方法論の1つなので、合う人と合わない人がいます。
この記事を読んで、「書いてみようかな」と興味が湧いた人は、やって損することはないので、書いてみるといいと思います。全く興味が湧かない人は、無理して書く必要はありません。
サッカーノートに興味を持った人は、今回紹介した「夢をかなえるサッカーノート」という本も参考になるので、読んでみてください。
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