自主練習で上達する人としない人の違いとは?
「毎日自主練していて、練習量は他の人に負けていないのに、上手くなれない」
こんな悩みを抱えている人も多いと思います。私もそうでした。
高校時代、朝早く学校へ行って練習し、部活が終わったあと、グランドに残って一番遅くまで練習していました。チームの誰よりも練習しましたが、公式戦に一度も出場できませんでした。
部活の練習だけやっているチームメイトが試合に出て、自分はベンチにも入れない、という悔しい思いをしました。思うように上手くなれない自分に、いつもイライラしていました。
しかし、今ならなぜ上達できなかったのかが分かります。サッカーの上達には、練習量はもちろんですが、練習の質も大きく関わっているからです。
当時の私は、練習量は誰よりもありましたが、練習の質が伴っていなかったのです。
練習量を増やすのは、やる気があればできますが、練習の質はそうはいきません。正しい知識を持ち、意識する必要があります。
練習の質を上げるために意識することは、次の2つです。
・練習メニューのレベルを上げる
・練習メニューが実戦とつながる感覚を持つ
1.練習メニューのレベルを上げる
自主練習で上達しない人の特徴は、できるようになったことをいつまでも練習していることです。
私も高校時代は、典型的な上達しない自主練習をやっていました。
例えばコーンドリブルは、毎回コーンを同じ間隔で並べて、同じスピード、同じタッチの練習を繰り返していました。
リフティングは、インステップのリフティングばかりやっていました。何千回もできるようになりましたが、実戦では全く活かせていませんでした。
練習時間はチームメイトの誰よりも長かったので、何となく満足感だけはありました。しかし、自己満足に過ぎないので、結局下手くそのままだったのです。
同じことを同じレベルで繰り返しているだけでは進歩はありません。自主練習で上達する人は何をしているかというと、上達に合わせて練習のレベルを上げているのです。
例えばコーンドリブルなら、ドリブルのスピードを上げたり、今までよりも大きな足幅でコーンをかわせるように、練習のレベルを上げていきます。
リフティングなら、インステップだけでなく、アウトサイドや胸など色々な部分で練習したり、テニスボールなどの小さいボールできるようにレベルを上げていきます。
練習のレベルを上げる3つの方法
練習のレベルを上げる主な方法には、「精度を上げる、スピードを上げる、障害を加える」の3つがあります。
1.精度を上げる
今までよりも高い精度が必要になるような仕掛けを加えます。
例えばリフティングなら、円を描いてそこから出てはいけないというルールを加えると、1タッチ1タッチの精度が向上します。
2.スピードを上げる
今までよりもスピードが必要になるような仕掛けを加えます。
例えばコーンドリブルなら、制限時間を設定したり、チームメイトと競走することで、ボールタッチの精度を維持しつつ、スピードを向上させることができます。
3.障害を加える
今までの練習に障害を加え、同じようにできるよう練習します。
例えばリフティングしながらジャンプしたり、その場で1回転する等、別の動作を加えることで、ボールコントロールとコーディネーション能力が向上します。
2.練習メニューが実戦とつながる感覚を持つ
自主練習で上達する人は、その練習が実戦のどの動きとつながっているかを意識しながら行っています。
一方、自主練習で上達しない人は、その練習メニューが上手くなるための練習をしています。いわゆる「練習のための練習」です。
高校時代の私もそうでした。リフティングは何千回もできるようになりましたが、リフティングの数を増やすことだけに集中して、「リフティングが実戦のどの動きにつながるのか?」ということは、全く意識していませんでした。
リフティングには、サッカーの動きに必要な要素を向上させる効果があります。例えば、次のようなものです。
・ボールコントロール
・ボールの置き場所を確立する
・ボールを伴ったボディバランス
・ボールを伴った重心移動
このように、リフティングが実戦のどんな動きにつながるかを意識して行えば、実戦につながる技術が身につきます。しかし、高校時代の私は、こういったことを全く意識していなかったので、実戦につながっていなかったのです。
今はサッカーの情報があふれており、ネットで検索すれば、色々な練習メニューが出てきます。しかし、それらの練習メニューが、実戦のどの動きにつながっているのかを感じられなければ、上達にはつながりません。
あなたがいつも行っている練習は、実戦とどうつながっているかを感じることができていますか?
もし、感じられないのなら、練習メニューの目的をもう一度見直した方がいいと思います。体を動かすと、何となく練習した気になりますが、それが自己満足にならないことが大切です。
サッカー教材を活用できる人とできない人の違い
ここまで、上達する自主練習のための2つのポイントを見てきました。ここまで読んで、上達するために意識すべきことは、特別なことでも何でもなく、ごく当たり前のことだと思われたと思います。
社会人プレーヤーの場合、上達のツールとして本やDVDなどのサッカー教材を使うことが多くなりますが、この2つのポイントを意識できる人とそうでない人は、教材の活用度にも差が出ます。
ほとんどの人は、教材に収録されている練習メニューを一通りこなしたら終わりで、二度とその教材を使うことは無くなります。(実際には、一部の練習メニューをやって終わり、という人がほとんどです)
これに対し、教材を本当に活用できる人は、収録されている練習メニューに自分なりのアレンジを加え、新たな練習メニューを作り出します。
その練習が実戦につながる感覚をつかめていると、「ここをこうすれば、もっと良い練習になるんじゃないか?」と、色々なアレンジができるようになるからです。一生に渡ってその教材を活用し続けることができるので、コスパも高くなります。
例えば、檜垣裕志さんの「サッカーテクニック向上メソッド」では、テニスボールを使った利き足のちょんちょんリフティングが紹介されています。多くの人は、これを見て、利き足のちょんちょんリフティングを練習し、できるようになったら、それで満足してしまいます。
しかし実際には、ちょんちょんリフティングは入門編に過ぎません。檜垣さんのスクールでは、インサイドやアウトサイドなど、体の各部を使ってテニスボールリフティングをします。スクール生の中には、各部で千回ずつできる選手もいます。
他にも、テニスボールのちょんちょんリフティングで、フットサルコートを往復する練習もしています。これも、100往復できる選手がいます。
ちょんちょんリフティングをベースにして発展させていくことで、さらに上達することができるのです。
ただし、注意点が1つあります。練習のレベルを上げることは大事ですが、「難しいことができるようになること」が目的になってはいけません。
テニスボールリフティングが各部で千回ずつできたり、100往復できても、それがサッカーのための練習になっていなければ意味がありません。
リフティングの目的は、ボールを最適な場所に置き、ボールと体が連動したコントロールを身につけることです。このポイントがズレていると、たとえ1万回できてもサッカーの上達にはつながりません。
練習メニューのレベルを上げても、実戦につながる感覚を持てるかどうか?これは、常に意識する必要があります。
リフティングとサッカーは関係ない…
そう言う人達がいます。
関係あるものにするか、しないかは、指導力によります。
それは、リフティングというトレーニング方法を理解していないことが問題で、リフティングというトレーニングの効果を理解していれば、その必要性を感じることができます。
ありとあらゆる練習方法がある中で、その目的、効果、意味をどれだけ深く理解できているかが最も重要で、例えば、利き足のポイントの技術を理解していなければ、「利き足だけ」と間違った捉え方になってしまいます。
まとめ
今回は、自主練で上達できる人とそうでない人の違いを見てきました。表面的には同じことをしているように見えても、上達できる人とそうでない人では、考えていること、意識していることが全く違います。
上達できる自主練にするポイントは2つ。練習メニューのレベルを上げることと、練習メニューが実戦とつながる感覚を持つことです。
特に大事なのは、「練習メニューが実戦とつながる感覚を持てているかどうか?」です。これができていれば、練習メニューのレベルを上げることは、自然とできるようになります。
もし、あなたが自主練で上達できないとお悩みなら、「行っている練習が実戦とつながる感覚を持てているかどうか?」を一度見直してみるといいでしょう。これができると、練習に対する意識やモチベーションが全く違うものになるはずです。
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